水原 麻以

張り詰めた空気が伝わってくる絵です。 魔女と若い女弟子の間に典型的な確執があったと思われ、互いに反目しています。 めきめきと頭角を現す弟子に苛立ちとある種の恐怖を感じた魔女は意地の悪い試練を課しました。それは彼女にとって嫉妬であるだけでなく自分に対する不満の裏返しでもあるのです。自分が昇ってきた階段を思い返すと綺麗で可愛い愛弟子と自分の若かりし頃をどうしても重ねてしまいます。無限の可能性と力に満ちあふれていた時代。それと同年齢の愛弟子の伸びしろを師匠である魔女は一番よく知っています。もし、自分に女弟子と同じだけの若さがあれば、もっともっと、いや場合によっては魔女でなく魔王の地位にのぼりつめていたのではないか。そんな可能性すら否定できません。いや、魔女は見てしまったのです。水晶玉で遠ざかってしまったもう一つの選択肢を。 だからこそ弟子につらく当たってしまったのです。 そして女弟子は悔し涙を噛みしめて誓うのです。

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