秋寺緋色

 烏丸さまの、本作品の説明にこうあります―― 「『書く気持ち』が風化していくよりは  拙速でも書き上げてしまった方がいいのではないかと思い――」  私はこんな説明文を書いている烏丸さまを見たことがありません。  すでに「行旅死亡人聞き書き」を読了された方はそのテーマの重厚さ、最高難度を誇る物語性に打ちのめされたのではないでしょうか?  峻険なる巨大な山脈に挑まれた烏丸さまに、黙して一礼するしかありません。  それにしても悲しく、美しく、愛に溢れ、生を描き、死を描き、儚く、脆く、切ない物語。形容し過ぎでワケが分からなくなりますが、描かれているメインテーマはコンテストテーマでもある「私が死んだ理由」です。だが、それを遥かに超え、多岐に渡るテーマの多重輻輳――眩暈がしそうです。  主人公の儀助は一人称の道南方言で自分の生と死を語ってゆくのですが、境目のないコントラストを違和感なく描き切った、烏丸さまの力量を味わってください。  レビューを書く前に早々とマイリストに入れてしまうほど気に入っています!  
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毎回毎回素晴らしいレビューありがとうございます。 私こんなにすごいの書いたっけ?と思わず拙作を読み直してしまいました。 「ガリバー人形」に続きマイリストに入れて下さり、ありがとうございます<(_ _)> 方言丸出しだったので、読みずらかった事と思います。 辛抱して読んでいただき、本当にありがとうございます。 現代から見れば人権無視というか、生存権を思い切り無視した世界の中で、人がどう折り合いをつけて、自分の人生と死をどう考えるのか、 妄想してみました。 自分がそれまで属し、献身してきた共同体から捨てられ、それでも自分の生になんとか意義を見つけて最後は幻影でも幻視でもいいからすがるも
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すばらしい作品でした! ネタバレしたくなかったので、必要以上にレビューには書きませんでしたが…… 八頁――儀助の目が見える、最後の頁。秋、冬の景色。紅葉の赤、黄色。雪の白。 九頁――儀助の目が見えなくなった、最初の頁。一緒に歩いてくれる誰かのこと。 ――この辺りから涙が止まらなくなりました。 儀助が生の世界から死の世界へ。 目は見えなくとも見える。 やがてこの死にゆこうとする聖者――儀助はこう呟くのです。 借りたものを返すだけ―― これから「白海月」を投稿しようとしていたのに、すっかり打ちのめされた私は、シマダより儀助のことばかり考えていました。 可哀相な儀助――なのにこの静謐な
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