初めて本作に触れた時、エンタメ作品とはかくあるべし、そして、バディ小説の一つの理想型ーーそう言っても過言ではないーーを、まざまざと見せつけられた気がした。  言うまでもなく、バディ関係は、一人が突出した能力を持っているだけでは成立しない。  二人の〝差異〟が明瞭にきっちり書き分けられてこそ、親密でありながらときに反発し、たがいに不足を補い合うことで生まれるダイナミズムを堪能できるのだ。  メインキャラクターの二人がとにかく魅力的である。藤間と澤錠のやり取りだけで、ごはん三杯はいける(笑)  二人と異能を身につけた受領者(レシピエント)ではあるが、これまでの特殊能力モノにありがちな=エリートでは決してない。  二人の異能は言ってみれば事故のようなもので、たまたま(と言ってしまうと語弊があるかもしれないが)身についたに過ぎない。  文字通り〝ギフト〟なのだ。それが素晴らしくいい。    冒頭から緊張感全開で、導入部としての惹きつけ度はマックスに達している。  これでページを繰らずにいられる読者などいるわけがない。  読者に二人の強い絆を意識させ、ごくごく最初の段階でキャラクターを際立たせることに成功している。  こんなふうに書いてみたい! 誰もがそう思うのではないだろうか?  魅力的なキャラクターは藤間と澤錠だけにとどまらない。  いざという時の切り札、頼れる姉御、もう一人のバディと言ってもいいエリーカ・リンドマンと、そもそもの根源たる〝荷物〟フィリウスことネル。  見た目にもアンバランスな二人の女性(ネルはまだ少女だが)がまた、作品をととのえるいいスパイスになっている。  さらには、悪玉の存在も忘れてはならない。非情極まりない江手とその忠実な僕亜門、この二人も一種のバディ関係にあり、こちらはこちらで異彩を放つ魅力的なキャラクターになっている。キャラクター造形はやはり重要だ。  最後にもう一つ特筆すべき点として、卓越した台詞回しをあげておこう。  今後の展開が楽しみな私のイチオシ作品(長くてゴメンナサイ)。
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ちょ! ことりはねさん! なんて素敵なレビューを! 最早感動を通り越して今後の作品展開へのプレッシャーにすら感じます(笑) これからも精進しなければ…! ありがとうございます(*´∇`*)
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いや、もう怒られたらどうしよってヒヤヒヤものでしたよ。 理屈っこきなので、長々と書いてしまいスミマセンです(*_ _)人 フフフ、忍法プレッシャー返しの術( -_-)ノ ---===≡≡≡ 卍 シュッ!
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