八神ユーリ

…とある危険なダンジョンにまさかの人影が。 「いやー、大量大量…こんだけ集めれば当面は金の心配は無いな」 大きな袋を担いだ10代半ばのような男が笑いながら独り言を呟く。 「…さて、用も済んだし帰る…」 「グオオ!」 少し立ち止まり、踵を返した男の目の前に黒いドラゴンが降って来た。 「…げっ、龍王じゃねぇか…コイツ、この前半殺しで勘弁してやったってのに…また現れるか?普通」 「グオオ!!」 男が面倒くさそうに顔をしかめて呟くと龍王は威嚇するように吠える。 「…まあいいか、今はLv.85の武器だしサクッと……アレ?」 男は武器を出して構えようと手を前に出すも何も出ない。 「…うそ…もしかしてオチた…?…ま、まあLv.30以上の武器が出れば問題ないか…ガチャ」 龍王を無視して男は魔法でガチャガチャのような機械を出すとレバーを回す。 『Lv.7 十手』 「十手!?嘘だろ!?龍王相手にLv.7の十手って頭おかしいんじゃねぇの!?死ぬわ!」 ガチャガチャから出て来た武器を見て男は狼狽えて取り乱した様子で悪態を叫ぶ。 「グルル…!!」 「…龍王に遭遇するわ、出て来た武器は使えねぇゴミだわ…マジで死ぬかも…とりあえず逃げる!!」 口から炎を出すように唸る龍王を見て、男は自虐的に笑い…大きな袋を担ぎ直すと踵を返して全力疾走した。 「誰かー!誰か助けてー!!」 さっきの強気な態度な何処へやら…男は情けなく助けを叫びながら龍王から逃げ回る。 「グオオ!」 「いーやー!こっちくんな!頼むから!来ないでー!」 …前後左右とダンジョンを縦横無尽に走り回るも一向に撒けない龍王から男は必死に逃げ回った。 「…はあ、はあ…もう、直ぐ…出口だ……流石にダンジョンの外までは…」 「グルル…!」 「げー!なんでこんな所にケルベロス!?いーやー!誰かー!誰か助けてー!!マジで死ぬー!」 前には三つ首の狼、後ろには龍王…とモンスターに挟まれた男は必死で叫ぶ。 「…伏せて!」 急に女の声がして、男が伏せたと思えば眩しい光が辺りを包む。 「立って!逃げるわよ!」 「…おお!これぞ神の助け!」 女の指示に男は素早く立ち上がり目が眩んでいるケルベロスの横を通り抜けてダンジョンの外に出た。 …続く。かも

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