綾崎暁都

15歳の高校生の高梨陽輝が、引っ越し先の千葉の外房の高校に通うことになる四月から、物語は始まります。 学校の廊下で、おかっぱ頭の少女、九野めぐみからすれ違ったほんの一瞬だけ、陽輝は夏の匂いらしきものを感じ取ります。そしてまた昇格口で彼女の後ろ姿を見た時、再びあの感覚を思い出して、めぐみを目で追うようになるのです。 クラスのみんなからは、謎めいた存在とされるめぐみ。陰で座敷わらしと呼ばれるめぐみのことが気になりながらも、話す接点が見つからないまま、月日は流れ七月となり、海の日を迎えます。 海の日に少年野球時代に夏合宿で食べたあさりのバターソテーをもう一度食べに、九十九里浜へと向かいます。でも、夏の厳しい日差しのせいで、熱中症で浜辺で倒れてしまいます。 陽輝が目を覚ますと、介抱してくれるめぐみの姿が。めぐみは海の家の子で、同じく喫茶店経営をしている両親の下で働いている陽輝にとって、同じ境遇に親近感を抱きます。客の注文の声からあさりのバターソテーの名前が出たことで、陽輝は九十九里浜に来た目的を思い出す。そして、このあさりのバターソテーを注文したことによって、以前2人が出会っていたこと。夏合宿中夜外に抜け出した時、めぐみがボールを拾ってやったこと。夜だったこともあって、お互いオバケだと思っていたちょっと笑える話を聞かされ、陽輝は彼女から夏の匂いを感じたことに、しっかりと納得がいくのでした。 まぁこういったあらすじのストーリーです。19ページほどととても短い分量でありながら、ティーンエイジャーの少年の揺れ動く心を上手く描いた短編だと思います。周りがどう思おうと、一途にめぐみのことを見つめる陽輝の姿に、とても好感を持てました。この年頃は周りのことが気になって、本当に自分が好きな相手と真摯に向き合うことがなかなかできないと思います。もしそういった方がいれば、少しでも彼の姿に力をもらえればと思います。 この短編は三行から参加できる超・妄想コンテスト第81回「夏がきた」応募作品ですので、ちょうどこの季節にピッタリだと思います。気になった方は、ぜひ読んでみてください。
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藤波さん、レビューありがとうございます! ストーリーを丁寧に細かく追って書き記してくださったこと、大変痛み入ります。 思春期の少年特有の恥ずかしさだったり一途さだったりを汲み取ってくださったことも、とても嬉しく思います。 私のような思春期から遠ざかった者が書くには所詮は「男子高校生ってこんな感じなんじゃないか」という想像に過ぎず、大丈夫だったかな?という不安もあったので、ホッと胸を撫でおろしました。 この作品はどうしても「夏が来た」に応募したくて何度も推敲を重ねました。こうしてレビューをくださったこと、心強い後押しと励みになります。 本当にありがとうございました!
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いえ、こちらこそ。いつもスターありがとうございます! 他の作品も面白そうなのがたくさんあるので、読ませてください。
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