あーる

夏の終わり。花火をしよう、と昏い海ではしゃぐ大人男子と呆れ気味につき合う高校生男子。 夏を見送るための、ふたりだけのささやかな花火大会『夏の精霊会』。そこで見え隠れするふたりの熱のゆくえは…… 後から後から押し寄せる波に乗り、いつ身体から押し出されるかもしれないと、その気持ちを直視するのを恐れ拒む広稀君。 煙草をのむ行為に気持ちをのせてしまう、忘れがたい過去を海に映す浅田さん。 繊細な情景描写から、波の音、風の肌触り、潮の匂いを感じ、こと細かなそれぞれの心理描写から、抱く不安や恐れ、揺らめく気持ちなどが読者の心に流れ込み、脳内でその瞬間の映像が再生されていきます。 知ることをおそれ、忘れること惜しむ「過去」 先が見えない不安、とどまり続けた「未来」 ふたりが過ごしたささやかな時間の「今」 本質的なところで惹かれあったのであろう相手がここにいる。それぞれがその大切な「今」を感じたとき、ふたりの時間が繋がり流れ出した気がしました。 ここから。 そんな気持ちになるエンディングに、すんなりとは進めない関係かもしれないけれど、きっといつか。この海辺を手を取り歩くふたりの姿を見られるといい、な……と心から願ってしまいました。 夏の終わりを肌で感じる、素敵なお話をありがとうございました!
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あーるさ~ん!!!(≧▽≦)♪ すごい! 完結とほぼほぼ同時に、またもやこんなに緻密かつ美しい文章による レビューをお寄せくださってありがとうございます! 先にいただいたコメントでも思いましたが、 あーるさんの拙作における分析力、半端ないです(笑) というより、私が自覚していなかったことまでしっかりご指摘くださってあって、 ああ、そうかあ、と、この作品を書いた張本人のくせに妙に納得したりww 特に今回、拝読して胸を打たれたのが、「過去」「未来」「今」と、 彼らのうえをそれぞれ流れていった時間の経過に触れてくださったくだり。 それまで別々の人生を歩んでいたふたりが、 「今」という時間のなかで出
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