藍沢羽衣

更新情報ではないのですが、ちょっと作品のこぼれ話などを… 拙作の中では「まほろば温泉繁盛記」が突出して読んでいただいており、大変嬉しいです。これは拙作の中では一番新しい作品なので、他の過去作より技術的に上ということもあるのでしょうが、思い出がたくさん詰まっているせいでもあるのかなあと思いました。 私の生まれは本作の舞台となる岩手の花巻ではありませんが、同じくらいに人口の少ない、東北の片田舎です。両親は共働きで忙しく、大工をしていた祖父と、専業主婦の祖母にお守をしてもらって幼少期を過ごしました。 なので、本作の主人公あさひと、ほんのちょっとだけ境遇が似ています。 実際、知り合いのおじさんが獲った鹿肉などを、ときどきわけてもらって祖母に料理してもらって食べたりしました。秋は田圃でイナゴを袋一杯につかまえて、佃煮にしてもらったりしました。田圃でドジョウをとって、卵とじにしてもらって食べました。 私にとって、里山を吹き抜ける風のつめたさも、田圃の土のにおいも、早朝の山々に立ち込める霧も、みんなみんな懐かしい思い出です。 もちろん私はあさひのようなびっくり体験をしたことはありませんが、大自然の中では、いくつか不思議な体験もしました。今にして思えば、子どもの勘違いだったのかもしれませんが、里山は魅力に溢れていると同時に、畏怖の対象でもあると思います。 もし、そういった光景が、お読みくださった方に少しでも届いていたら、嬉しいなあと思います。 こぼれ話でした。

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