織田崇滉

安倍晴明と玉藻前、という定番中の定番を題材に据えた伝奇小説。 晴明の子孫が現代日本に蘇った玉藻前を今度こそ完全にやっつける、という筋書きも直球どストライクな内容で、奇を衒わない判りやすさが児童小説に向いているのかも知れません。 弟大好きなお姉ちゃんと、姉大好きな弟の関係も、家族愛を超えまいと我慢しつつも「身近な異性」への疑似恋愛じみた劣情が浮かんでおり、筆を割いているのが伝わりました。 そんな、晴明の血を引く姉弟が、復活しつつある玉藻前の気配を察知することで、国家も巻き込んだ壮大な計略に挑みます。 総理大臣の子供が友達で登場する思い切りの良さ、ライバル陰陽師を中ボスに据えて対比させる構成など、目を引く箇所は多数あります。 文体も作風に合わせて軽妙に推敲され、語彙も難しくならないよう厳選されているのを感じました。 陰陽師らしく使い魔も生き生きと活躍しており、特に夢の葉は気に入りました。小賢しくちょこまか動いてあるのが楽しいです。 また、おしとやかなお姉ちゃんが十二神将を憑依させると人格が一変するのも、おかしみがあります。 本作では特に七星剣を重視しており、題名の『キラメク七つ星!』もここから取られています。都内七箇所の、北斗七星に見立てたパワースポットを転用するのも良かったです。 あえて難点を挙げるとすれば、やや定番すぎたことでしょうか。 晴明を題材にした既存作は、たくさんあります。 本作の完成度自体は高いのですが、そうした先人たちに比べると、やはり既視感が拭えなかったのが惜しい。 単に玉藻前を倒すだけではなく、新たな黒幕なり別の真相なりがあれば、過去の晴明モノと差別化できたのではないか……作者独自の新解釈を提案できれば、独自性と新味が出せると思いました。
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レビューありがとうございます!! 定番すぎるというのは私も書きながら気になっていましたね(^_^;) つばさ文庫に応募するための作品だったので、子供たちの「陰陽師ものの入り口」となれるような小説にしようと思って執筆したのですが、やはり新鮮さが無かったのが敗因かも知れません(汗)
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