八神ユーリ

…続きの続きの続き。 「あ、うん…そこの突き当たりの左側に俺が…」 「そこの突き当たりね!」 またしても男の言葉を最後まで聞かずに女は急ぐように駆け出す。 「…ん?へい、らっしゃい!何かご入用で?」 「不死鳥の涙があるって聞いたんだけど…!」 見ての前で息を整える女を見た店主が挨拶をして聞くと興奮を抑え切れないような感じで告げる。 「おお!お嬢さんは運が良い!本当に今先ほど譲って貰ったばかりでして…」 「ホント!?いくら!?」 用を聞いた店主が手を叩いて言うと女は驚いたように値段を尋ねた。 「75万Dになりやす」 「な、75万ドゥール…」 「そこのぼったくりの150万よりも半額、というよりもコレが適正価格ですけどねぇ」 値段を聞いて違う意味で驚く女に店主は笑いながら説明する。 「も、もう少し安くならない、かしら…?」 「もう少し、と言うと…?」 「ろ、60万Dぐらいに…」 「…60万Dはちょっと…ウチも商売ですんで、まけても70万が限界です」 女の値切り交渉に店主は苦笑いしながら値下げ出来るギリギリの値段を告げた。 「…そこをなんとか!お願い!この通り!」 「…ですが…60万は…」 女が手を合わせ、頭を下げてお願いするも店主は苦笑いしたまま渋る。 「…俺からもお願いする、一応は恩人なんだ…俺の」 「……お兄さんがそう仰るのでしたら……分かりました!腹、括ります!55万Dにまけましょう!今回限りの大盤振る舞いです!」 そのやりとりを見てた男も頭を下げると店主は少し考えた後に値下げ交渉に応じ、大幅に値下げした。 「本当に!?じゃあ気が変わらない内に…はい!お金!」 「…ひーふーみー…………はい、確かに…コレが不死鳥の涙でございます」 女がお金を渡すと店主はソレを数え、ガラスケースから液体の入った瓶を取り出して渡す。 「ありがとう!コレで姉さんも…!」 「…無茶な願いを聞き入れてくれて感謝する」 女は品物を受け取ると直ぐに走り去ってしまい、残された男が店主に礼を告げる。 「本当ですよ…あっしも家内に怒られると思うと…」 「じゃあ埋め合わせとして…コレを」 苦笑いしてため息を吐いた店主に男が袋から鋭く硬い爪や牙を数個、ガラスケースの上に置いた。 …つづ…く…?

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