八神ユーリ

…続きの続きの続きの続き。 「…?コレは…?見たところ上質な素材のようですが…」 店主は不思議そうに手袋をして置かれた爪や牙を見て尋ねる。 「獣王の爪や牙」 「っ!?獣王!っていうとあの某国の英雄や勇者も倒すのが難しいと発言した…獣を支配し、ダンジョンに君臨する王様…ですかい!?」 「おお、詳しいね」 「そりゃあ、あっしもこの商売が長いですからねぇ…ですが獣王の素材なんて初めて見ましたよ」 素材の元の魔物の名前を言うと、驚きながら確認するように聞いて来たので頷いたら… 単眼鏡を着けた店主が素材を翳すようにして鑑定し始めた。 「獣王の素材だって!?ウチにも売ってくれよ!」 「いーや私の店だ!」 「上手く捌けば数百万は下らない獣王の素材だ…!ぜひウチに!」 …驚いた店主の声が大きかったからか、周りの店の店主達が品物を取引したいと殺到してくる。 「…これで奥さんに怒られずに済んだな、じゃあまた来るよ」 男は笑いながらそう告げると店主に手を振って歩いて行く。 …一週間後、とあるダンジョンにて。 「今日は岩石魚獣の鱗でも…」 「きゃあああ!!」 男が素材が書かれたリストを片手にダンジョンを歩いてるとどこからか女の悲鳴が聞こえてきた。 「…ん?ガチャ」 男は様子を見ようと素材リストをしまい、魔法で出したガチャガチャを回す。 『Lv.48 菊太郎の刀』 「…よし、このダンジョンなら敵はいないな」 高レベルの武器を手に、男は悲鳴がした場所へと向かう。 「…くっ、この私が…こんな所で…!」 剣は折れ、鎧はボロボロの状態の女が岩石獣に囲まれて涙目で悔しそうに呟いている。 「っ…!!?」 「……ようやく恩が返せた」 物言わぬ岩石獣の群れが飛びかかろうとし、女が目を瞑ると… 男が女と岩石獣の間に割って入り、群れをあっと言う間に一掃して声をかけた。 「…え?…あ、あなたは…!」 「その説はどーも、世話になったね…今回はいつもと立場が逆だけど」 「な、なんでココに…!?」 「…たまたま俺が通りかかったから良かったようなものの…ココは危ないよ?」 女が目を開けて、男と…それを囲むように倒れた岩石獣を見て驚くと刀を鞘にしまい笑いながら返す。 …終わり?

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