エブリスタ
さがす
本棚
通知
メニュー
コメント
君の心(こえ)が聞きたくて2
boly
2018/9/2 4:09
他サイトとこちらを行ったり来たりしながら夢中になって読みました。 幼馴染だった陽向君と征治さんは、お互いを想いながらも幾つもの運命のいたずらに翻弄され、特に陽向君は十代の一時期、茨の道を這うように生きるしかなかった日々も長く、読みながら頭の中で場面を想像することが辛い章もありました。それでも本文を貫く作家さんの想いは温かく、その温かさに導かれるようにどんどん引き込まれて行きました。 一夜の甘い出来事とベッドで交わされる会話が数ページにわたって描かれていたり、登場人物の心の動きや内面的な成長、彼らを取り巻く日常の風景がとても丁寧に表現されていて、その細やかな描写に同じ書き手としてどれだけ刺激を受けたかわかりません。 大人版も含め「1」「2」と全編読み終えてしばらく経ちますが、長い長い物語の中で何度も思い出すセリフは、最後のほうで陽向君が征治さんに言った「僕、物書きのくせに想像力が足りないね」です。小説はフィクションですが、現実の世界でも幸せなだけの人生を生きている人なんてほぼゼロで、この物語に出てくる人々と変わらないぐらい壮絶な生き方をしている人も多くいると想像できます。それでも腐らずに人と関わることや愛する人を信じることを諦めず、一歩一歩前に進んだ先で陽向君がつかんだとても幸せな場面でこぼれたこのセリフを思い出すたび、甘い幸福感を覚えます。と共に、陽向君に(書き手に必要なのは想像力だよ!)と励まされているようにも感じます。とても勝手な解釈ですが。 「こういう長編を書いてみたい!」と思わせてくれた本当に素敵な小説。出会えて良かった一作です。
いいね
・
2件
コメント
この投稿に対するコメントはありません
boly