雪翅

幻想的で穏やかで、二人だけで完結した、ひたすら優しい狭い世界。 その形は歪で、どこか背徳的で、でも繊細で。今にも壊れてしまいそうな危うさを孕んでいて、悲しいはずなのに美しさを感じてしまいました。 己の欲の為に、黒く染めてしまった想い。 いつまでも伝えることはできないだろうし、もしできたとしても、きっと相手はもう純粋にそれを信じることはできないでしょう。優しさ、罪悪感、依存……そういった感情からそう言ってくれているのだと思ってしまうでしょう。 真実も想いも隠した、悲しい嘘。 自分のための、ずるい嘘。 しかし、その歪な形の箱庭こそが、二人にとっては最高の幸せなのかもしれない。 今日も二人は寄り添うのでしょう。 本当の心を、胸の底に埋めて。
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素敵なレビューをありがとうございます!この小説を的確に表現してくださった美しいレビュー、本当に嬉しいです。
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