江田公三

どんでん返しも、騙しもない、淡々とした物語ですが、主人公の内面には大きな変化があります。高校の女性教諭と男子生徒の関係性を、花火の夜を中心に描いています。 多少の性的描写もありますが、その描写自体が目的というより、二人の関係の進展の一つとしてのものです。 取り立てて邪悪な人物がでてくるわけでもなく、誠実な小説作法であると感じました。男性視点の描写ではここまでの深みは出てこない。女性主人公の視点だからこそ作品として成立するのだと思います。

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