しのき美緒

スケールの大きな青春小説 一介の郷士の身分でありながらずば抜けた剣の腕をもつ三木惣介が藩の命運を賭けて、名産の和紙の販路をみつけていく。郷士と上士、江戸と国許、さまざまな思惑が絡み合うなかをひたすら三木惣介は生き抜いていく。その中で友を得、妻を得る。 人がもつ様々な事情を受け入れつつ、最善を尽くす三木惣介の生き方は清々しい。 後半は三木と妻は陰謀の犠牲となって非業の死を遂げる。けれど、この夫婦の死をもって、作者はわたしたちに国を愛するとはなにか、郷土を愛するとは何か、を強く訴えかけてくるのである。余談ではあるが三木の妻の香乃の生き方はこの作品に鮮烈な彩りを添えている。 そして一人娘のかえでは一子相伝の秘剣を得て、仇討ちに挑む。 かえでの出番が少ないのは残念だが、まだ少ししか生きていないのである。 きっといつかかえでの青春の物語も作者によってつむがれる、とわたしは楽しみに待っている。 多くの人物が登場しながらどの人物も時代を生きている。素晴らしい小説だった。
4件・3件
過分なるお褒めの言葉痛み入ります。しのき美さんに追いつけるよう頑張ります。
1件2件
下手なレビューですみません。追いつくっていうか、もはや軽々と越えていってます。わたしもがんばります!
1件

/1ページ

1件