ももたろう

確かにこの物語は、切ない。悲しすぎる。 何の関わり合いもない、通りすがりというか毎日見る人に恋をする。 それ自体は、特別なことでもないし、普通の生活をしていてもよくあることだろう。 通勤通学のいつも乗る電車で朝、一緒になる人に恋するようなものだ。 朝、会社の近くで寄るスター○ックスの女性店員さんに恋するようなことだろう。 その人が「いつもありがとうございます」と満面の笑みで語りかけてきたとしても、それが何かを意味するものでもない。 工事現場で警備の仕事をしている主人公は、かわいい女性たちが通勤してくることに気づく。 しかもこんな自分に会釈をして通り過ぎてくれるというではないか。 彼女たちの正体が仕事仲間から知らされる。そういう人たちなのか、道理できれいなはずだと思う反面、「高嶺の花」と認識させられる。 ある日、その中の一人に会釈だけでなく「おはようございます」と言葉をかけられる。 『ろくでもない一日が少しだけ色づく』瞬間だ。 どうやら、工場に通勤するための普通の道は、通行禁止になっていたようだ。 その理由も明らかになる。 彼女が彼に挨拶するときにイヤホンを外してくれるという。 何となく、意識してしまうのも無理ないことだ。 そして、通行禁止の解除。 それはもう彼女と会えない、彼女の顔を見ることができなくなることに等しい。 彼の行動は、彼の気持ちはわかる気がする。 人を恋するということは、ストーカーの一歩手前のような行動をすることにもつながるのかもしれない。『君は僕だね』その言葉がこれを裏付ける。 季節の移ろいを取り込んだ情景描写に感嘆しながらも、気づかれることなくただあなたを見ていた向日葵のように、届かない愛、究極の片思いがあまりにも切ない。 でも時は何事もなかったように過ぎてゆく。まるで向日葵の時期は終わって、トンボが飛ぶことのように。 作者様の物語作りのうまさに、圧倒されますね。
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レビューをいただきまして、誠にありがとうございます。 感謝と共に、美しいレビューに感嘆しています。作者であるはずが、思わずこの物語を読みたくなってしまいました。レビューの書き方を学ばせていただいた思いです。 今年のうだるような暑さの中で、衝動にかられるようにどうしても書きたくなった物語でした。ももたろう様にこのように感じていただけたこと、とても幸せです。 最後の言葉に、これからも紡ぎ続ける勇気をいただきました。 ありがとうございました。 あれほど暑かった夏も、様々な出来事の中であっというまに終わってしまったと感じています。 自然がこれ以上大きな災害を運んでこないことを祈りながら、こちらのレ
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moco.i さん おはようございます。 ご丁寧なご返礼頂戴いたしまして、恐縮です。 なになに、もしレビューが美しいとかであれば、それはもちろん原作がそうであるからで、わたくしのレビューは原作をなぞって書かせていただいてるだけです。 ほんとにありそうな話ですが、最後の部分はそうあってはならないことですね。 暑さと言うのは人を狂気に駆り立てることもあり得ますね。 時々「誰でも良かった」なんて犯罪をニュースで知るとほんとに恐ろしいものですね。 今回のこのお話は「誰でもよかった」とは違いますが、誰にでも少しは潜むだろう「狂気」が底知れない恐ろしさと、誰にも知られずに命を絶った青年の悲し
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