土佐屋治兵衛

いいかい? これは私、独自の解釈として聞いてくれ。 さぁ、恋の話をしようじゃないか。 この作品は、吸血鬼と女子高生の、モンスターバトル? それは、手段であって、テーマではないさ。 吸血鬼と女子高生。 この話は・・・        純愛。 しかし、純愛だからこそ、吸血鬼は彼女を襲わない。 彼らが食するのはBlood(ブラッド)。 定番ならば、それだけで、吸血鬼の枷になる。 愛しているから、Bloodを食さない。 食さなければ、待つのは・・・ 恐らく・・・         死。 そして灰になり・・・消えてゆくんだ・・・ しかも、勝気な少女は罵倒したりハイヒールを投げつけたりと傍若無人。 だが、吸血鬼は怒ったりなんかしないよ。 少女を大らかな無償の愛で優しく包み込む。 それを、犬と呼ぶなんて言っちゃいけないよ。 Lady♪ その優しさに触れて、少女は吸血鬼に恋をする。 それが。 初恋。 何故、少女が彼に恋をしたかって? 簡単さ。 彼は、彼女を食さなかったから・・・ 彼は、自身の命の源であるBloodを切り捨てて迄、彼女を護っているから・・・ 命の源を削りながら、懸命に愛する人を守り抜くストーリー そう考えただけで・・・・ 喉の奥が乾いてこないかい? 体にチクチクと電気が走らないかい? 胸が締め付けられないかい? 恐らく、それを彼女の深層心理は解っていたはず・・・ 自覚はないさ。 君だって無意識なんて自覚したことなんてあるのかい? こんな切ないラブストーリーを読まないなんてどうかしている。 しかも、冒頭でのモンスターバトルの最中(さなか)に彼と少女の恋が始まっている。 それに気が付かない読者は居ない。 バトルは、映像が浮かび上がるような描写の数々。 さながら映画のようだ。 合間に、口元がニヤリとするようなコメディー。 そして、愛すべき家族。 まだまだ序盤のこの作品は、新たなバトルへと向かっている。 しかし、忘れてはいけない。 これは、吸血鬼と少女の切ない初恋の話だという事を。 吸血鬼が己が欲望を微塵にも見せつけず、彼女の前では優しい微笑み。 きっと彼の奥には本能である食欲がある筈。 食欲なんてと思っている君たち。 死にたくはないだろう。 彼は死んでしまうかもしれないんだよ。 命の源を絶つという事は、そう言う事さ。 そう思って、この話を呼んでご覧。 単なるバトルシーンが切ないラブストーリーに変わる筈さ。

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