ももたろう

ジャンルが「ホラー」ということで、実はあまり得意分野でないのですが、『ちょっとラブコメ、そしてあまり怖くない』ということなので、寄せていただきました。 出だしからの情景描写に引き込まれますね。目に浮かぶような朧月夜の薄闇。 その中にひと際明るく見える、大きく枝を張った満開の桜。 でもその気は、何か、違う世界との境界になっているようだ。 そこで、京が出会ったいくつか年上の少女「すず」とこれからどんな話が展開されるのか、興味がわく。 【「境」を守り、気の調和を守る】 そして、日本中の山の「境」を巡礼する? なんだか、ちょっと違った世界が。 アヤタチがとかツキサシとか舞台が神社であったり、普段聞きなれない言葉が出てくるが、主人公はサッカー好きな高校生、普通の少年であったり、今どきの宮司はパソコンを駆使したりとなんら違和感がない。 京はアヤタチであるすず(珠洲)を守るツキサシであるという。 そして、「北条の隠し財宝」探しや「風魔忍者」の話と憑依、怨霊、浄霊とおどろおどろしたところはあるものの、エアガンにスマホ、自動車で逃げる忍者と自転車で追う怨霊とどうなっているのやら。おかしすぎる。 このような話を縦糸でつなげ、姉さん女房的な珠洲の思いやりが横糸でアクセント。 「さえのかみさま」とはそういうことですか、境界を越えて悪いものが入ってこないようにと守っている道祖神、路傍の神様だったのですね。 大切な人を守ろうとするその行為が、憑依とか霊になったのかもしれない。それは今も昔も同じ。時代を越えて桜が見守っているということなのだろうか。 戦国時代からの知識を縦横にちりばめ、謎解きも加えてはいるが、ラブコメの要素を肉じゃがと味噌汁で味付けしたとても高尚な物語。独特で秀逸な世界を楽しませていただきました。 そういえば、すっかり「ホラー」ということを忘れておりました。

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