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シーとカングー
倉橋@新作発表
2018/12/16 23:20
この方は、作者自身、あるいは分身と思われる「私」、本作で<シーザーのメス>と紹介されている飼い犬というよりはすてきな家族である「シー」とを主人公に、多くの短篇を発表しています。 どの作品も、エッセー風の柔らかな風のような文章ですが、内容は決して柔らかなものばかりではありません。 別離もあります。 死もあります。 柔らかな風と重要な副主人公であるシーの存在が、すべてを美しい抒情詩に変えてくれるのです。 僕らはこの小説を通じて、人間の一番大切な「心」というものを改めて感じ、「人生」を見つめ直すことができるかと思います。 本作には、様々な別れがでてきます。タイトルの由来は、主人公である「私」が購入した自動車の名前です。 そして短い作品の中に、様々な別れが出てきます。 そして日本人である私たちに、未曽有の哀しみをもたらした東日本大震災もでてきます。 様々な別れは東日本大震災という悲劇とクロスし、その中で生まれる新しい出会いが締めくくりとなります。 抒情詩というだけではない。音のない美しい音楽です。 最近、短篇でたてつづけに素晴らしい作品を読むことができたことに感謝しています。 エブリスタの中でこの作品が多くの読者に読まれることを願ってやみません。
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