藤白 圭

冒頭、拉致された兄弟が、なんとかして脱出するというサスペンスを匂わせながらも、徐々に妙な空気と暗い雰囲気を纏っていく。 空白の記憶。 そこに新たに自分のものとして加えられた、親友の記憶。 どれが本当でどれか嘘かが分からなくなる中、ようやく真実の記憶が甦ったとき、彼は真っ黒に焦げ、そして、まっさらになる。 もしかしたら、すべてを焼き付くそうとした彼は自分自身をもこの世から無くそうとしているのかもしれない。 そう。 すべてをまっさらにしたかったのかもしれない。 この物語はある意味、負の連鎖を感じさせる。 苛められていた親友の話を自分のものとして記憶した男は、もしかしたら、親友に憧れていたのかもしれない。 苛められていた親友よりも、もしかしたら不幸な目にあっていた男は、親友が羨ましくて、苛めていたのかもしれない。 彼らが本当に親友であれば、互いの苦悩を理解しあえたのかもしれないが、結局のところ、親友は、苛めのフラストレーションを弟に向け、そして、その弟を含め、親友は全てを無にしたかったのかも…… そう思うと切なくやるせない気持ちになりました。
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丁寧なレビューありがとうございます(≧∇≦) この作品は、プロット時に、登場人物の生活環境や以前の関係性とか諸々、裏設定ていうのかな、本作には書かない設定を決めてから、書いたので、レビューがまさにそこを捉えてくれて嬉しかったです! 文字数の壁や、伝えずして想像して貰えるように頑張ってみました。 いやー、でもホラー難しい( ̄▽ ̄;) ありがとうございました!

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