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偽物の恋をきみにあげる
ファンシー・コウ
2019/1/18 21:03
ぼくには友達がいる。 こんな書き出しで、レビューすることを許してほしい。寺島かなたさんはぼくの友達だ。 「実は、ズッキーさんとのやりとりをモデルにしてるんだよ。内容は捏造してるんだけどね」 そんな連絡があったのは数日前のことだった。 そのときのぼくのドキドキを想像してみてほしい。 なぜならぼくは彼女とコメントでふざけあっていたし、SNSでメッセージのやりとりもしている。そしてなによりも短編小説をプレゼントしたことがあるからだ。 寺島さんの作品はすべて、偽物の物語を書いている。初期の「初恋をもう一度」からずっと。それは「ホンモノ」の残酷さと「偽物」のやさしさをとてもよく知っているからだろう。 今回の新作はとくにそう思う。 偽物をテーマにしている以上、話はまっすぐ一直線にはいかない。何度も何度もねじれていく。そのたびに、読者は驚くことになる。最後の最後まで気が抜けない。読者をああでもないこうでもないと引っ張りまわし、やきもきさせる。だが、どの作品でもそうなのだけれど、最後で、だましてくれてありがとうと思わせてくれる。 彼女は構造の作家だと思う。使っている文体は平易で、題材も恋愛小説としてはさほど珍しいものではない。(もしかしたら、いやおそらくそれはわざとだとだろう)だがこれほどまでに読ませるのは、構成がすばらしいからだ。 もしこの長いレビューを読んでいただいた方がいらっしゃったのなら、彼女の作品をぜひ三回は読んでほしいと思う。 一度は彼女にまんまと騙される快感とともに、 そして二度目はどんなふうにだましていったのかその仕掛けを堪能して (まるで、将棋の感想戦のように) そして最後になにが嘘でなにがほんとうなのか、もういちど慎重に読んでほしい。 そうすると、彼女がなぜ、こうした仕掛けをしなくてはいけなかったか。というより、仕掛けをしなくては書けなかったかが見えてくる。登場人物をみつめるやさしいまなざしが、うきあがってくる。この物語を書いている作者自身の物語が見えてくる。 ぼくはこんな味わい深い仕掛けをこんな平易な文章で、書く作家を知らないし、そして一度読んだだけではわからない、深みに気づかされる作家も知らない。 寺島かなたさんはぼくの友達だ。 ぼくは彼女と友達になれたことがとてもうれしいし、ぼくとのやりとりをモデルにこんな素晴らしい小説を書き上げた、彼女を尊敬している。
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さくら花菜@短編コンテスト開催中
2019/1/19 18:58
ズッキーさんへ 「偽物ばっか書いてるね」この間そう言われた時は、めっちゃ驚きました。全く自覚なかった(笑) 私よりも私の作品を理解してくださるズッキーさんに、レビューを書いてもらえて本当に光栄です。 素っ気ないとか言葉足らずとかエピソード足らずと言われがちな私の作品ですが、その意味を本当に理解して読んでくれるズッキーさんが1000人いればいいのに、と本気で思います(笑) 構造の作家かあ…。すごいカッコイイ肩書きができた!(゚∀゚) なんでだろ、理系だからですかね(笑) そういえば、Romantic loveの構成もめっちゃ褒めてくれましたね。あれ以来、あの作品が妙に気に入ってます。 ズッキ
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