倉嘉 ルチル

【昔語り】とあるように、『泉界のアリア』のナシェルと冥王の過去の物語です。 冥王の半身として生まれたナシェルが、まだ幼い頃、父神の愛を健気に受け入れようとしていた第一章からはじまり、幼馴染との関係、そして本編へ繋がるとても大切な物語と、四つの短編~中編の物語が収められています。 ナシェルが純真な幼少の頃から、いかに本編『泉界のアリア』のネジネジなナシェルへと成長(歪んで?)いくかが、美しい筆致で濃厚に描かれて、一つ一つのお話が、とても読みごたえがあります。 特に第一章は、初めてのことに翻弄されるナシェルが健気にも愛らしく、後にトラウマとなってしまう行為なのですが、ついつい何度も読み返してしまいます。 永遠の命を持ち、中に描かれる時間も500年など、人の寿命を遙かに超える雄大な神々の物語なのですが、抱える心の悩みは繊細で、迷い悩み懊悩するさまがとても共感でき、何度読んでも読み飽きません。 『泉界のアリア』【昔語り】を読み終えてから本編を読み、またナシェルの過去が読みたくて【昔語り】に戻り、そしてまた本編へ――と、何度でも往復して楽しめる、番外編に止まらない、奥行きのある物語の数々です。 濃厚で壮大な世界観の中に、繰り広げられる冥王とナシェルの愛憎の原点のようで、大好きな物語です。 お勧めです♪
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ルチルさん、このたびは素敵なレビューをありがとうございます。 昔語りを読まれてから本編を読んだ派なのですね! この読み方を読者様から教えていただいたのが最近なもので、 過去編から読んだらこの物語ってどういう感じに受け取られるんだろうって、自分の作品なのになんか未知数な部分でもあります。私の中では、ケンカ上等ォ!の半グレ青年神ナシェルが先に存在して居たもので…(;^ω^) こちらは番外編として書いたので云々、と一応断りを入れてあるものの、この作品だけでは世界観の説明が不十分なのと第2話の乳兄弟の登場の仕方が唐突で(いきなり初登場の乳兄弟の一人称で始まっちゃうし…)、客観的に見て読者様にそれほど
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