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闇に関する報告書
有栖川 露陰
2019/2/11 22:38
退廃的な近未来の空気感。他のレビュアー様も指摘されている様に見事であります。魅惑的であります。 現在から見たら結構未来の都市空間が舞台ですが、下手をしたら現代よりも荒んだ、繁栄した社会の衰退期を感じさせる空気感が絶妙ですね。 しかし、とりわけ女性たちの姿がえもいわれず美しく、魅惑的ですね。娼館の様子も、凄く惹かれました。 過剰な装飾や、大袈裟なレトリックなくして涼やかに鋭く端的に色香(セクシャルな意味のみならず、アクションについても)を感じさせる筆の冴えは何としたことでしょう! 姿の見えない花が匂うかのような、幽遠さをも私は感じました。 物語上、中国も関係してくるので当然といえば当然ではあるのですが、作中に漂う中華的な香気がとても妖しく魅力的でした。 先に述べた幽遠さもあいまって、シノワズリー・ノワールと銘打ちたくなりました。日本でありながら、香港ふうの風情があり且つあくまで香港ではない空気感、独特の趣があります。 限られた紙幅の中で十二分に世界観に厚みをもたせ、且つ筆者様の秘めた力量や可能性を示すことに成功していると思います。 結構厳しめのレビューもありますが、やはり筆者様の実力が本作では発揮されきっていないと判断される為ではないかと思います。まだまだいける実力の持ち主の筈だ、と。 しかし、限られた紙幅の中でサスペンス、伝奇どちらにも振れる業は真似しようもありません。他のレビュアー様が指摘する粗い点も、私にはむしろ恐ろしかったです。 限られた頁の中で才気と可能性が暴れまわっている、と私には感じられたのです。 圧倒的な筆力と才覚を叩き付けられた感があります。 益々のご活躍、一層の躍進、応援しております!
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綾崎暁都
2019/2/12 23:15
レビューありがとうございます!こんなに褒めてもらえて、とても嬉しいです。 元々この小説は、探偵を主人公としたハードボイルドを書きたいと思って始めたものです。ただ、それだとありきたりだと思い、SFが好きなので近未来の人工島を舞台にしました。ハードボイルドやサイバーパンク系のSFではよくチャイナタウンの描写があるので、中華的な要素があるのは自然な流れでそうなりました。 でもこれでもありきたりだと思って、胡蝶といったああいうスキルを持ったキャラを登場させたのですが、胡蝶というキャラは良かったものの、彼女のスキル、つまりキャラクターの能力がストーリーの世界観を壊しかねないなって、読み返した時
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