更紗

レビュー書かせて頂きます。 チョコレート依存症の更紗と致しましては、今作のレビューはいつもの三・一四倍真剣に取り組ませて頂きます。 まずベネズエラで真っ先に浮かぶのは石油産業、世界有数の産油国、というところでしょうか。 農業は気象によってその収益が大きく変動する。が、石油は投資対象となるまでは世界経済においては出た国勝ちの安定収入に繋がりました。南米は農業国ばかりと思われがちですが、鉄鉱石や石油など資源が豊富な国も多いです。 ベネズエラについては石油産業のおかげで国民総中流以上という恵まれた時代があり、日本人も多くいました。20年前までは。 それが今ではハイパーインフレで国民の国外流出、貧困による飢えや治療が受けられず死亡する人々の報道で溢れている。ヨーロッパやアジアから新天地を求めてやってきた人々は苦渋の選択を強いられ親の国に戻っている。 本作は、表層はミントチョコの如く若者の初恋を爽やかに描き出し、所々にヌガーを少しずつ挟んでいます。でもその奥底には黒いチョコレートが流れ、またはタールの塊のように足元を捉えて放さない現実世界が横たわっています。 現実の重さと若者達の未来への希望。 上手く織り交ぜている作品です。どうか一人でも多くの方に読んで頂きたい。と同時に今地球上で起きている悲劇が、我が国にも起こりうることなのだと真摯に受け止めて下さいますように。 椿更紗
1件・1件
一足早いホワイトデープレゼントありがとうございます。 ここまで、作品に込めた背景を汲み取ってくだされば、作者冥利に尽きます。 地球の裏側の世界が今どうなっているのか。 オリンピックのときに、表面的な面白おかしい情報だけ手に入れるだけでは、やはり本当の現実は見えてきません。 せめて若者たちが、もう少し暮らし良い生活のできる世界を、当たり前の幸せを当たり前に手に入れられる世界を、少しずつ形作っていけないか、日々そう願って、これからも作品を作り続けて参ります。
1件

/1ページ

1件