織田崇滉

未来のディストピアで無能は人肉にされてしまう……なんて聞くと有名な古典SFをたくさん思い付きますが、本作はその系譜でありながら、プロの制約から逃れた自由でのびのびした筆致を楽しめました。 人格と肉体を入れ替えるシステムが民間人レベルでも使用できる……これは使いようによってはとんでもない犯罪にも応用できる上、肉体交換によるジェンダーや倫理観の確立が容易ではないため、扱うのが非常に大変だと思います。プロならば慎重になってしまう題材のはず。 ところが本作は大胆に採用し、外見と中身の落差が生み出すシニカルな描写がとにかく面白いなと感じました。 ディストピアから逃れるためにテロを起こす物語ですが、ひとまず最初の目的を達したところで箸休め。 社会的な自由への渇望と、人格の肉体からの解放を照らし合わせたストーリーラインも注目です。
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