甚平

イベントから拝見いたしました。 唐突に降りかかる理不尽、それに対面する苦悩と超克を描いたお話として私は読みました。 理不尽の起こる理由や、それが起こった時の白鳥の対応が人間的で良かったです。 構成としては現実→比喩(夢)→葛藤→現実という構成かと感じました。 比喩というよりは、白鳥の内面の苦悩が見せた一時の夢であり、その夢の主人公と 白鳥とが同じ苦悩を抱えた者同士として内的世界で対話し、答えを見出すという お話かと感じました。オチは綺麗に羽ばたいて生きてきた白鳥が、嘘と罪で汚れ、 翼も失ったけれど、カラスのように真っ黒になって這ってでも生きようという 前向きな部分を最後に、客観視点で少し滑稽に描いたものと判断しました。 会話的な文は雰囲気もよくでており、状況も良く掴める内容でよかったです。 辛口をご希望頂いたので、気になった点を追記いたします。 ●文章について おおむね問題なく、よく書けていると思います。 恐らく一人称、それも心理に重点を置いてきているのだろうと感じました。 その分、三人称視点、動きのある描写については苦手なのかなという印象を受けました。 特に最初の文においてカメラ位置の散らばりが見られ、恐らく主人公の混乱した心理と あわせて描写されているのだと思いますが、三人称視点なので単に散らばった印象がありました。 前提として、演出と関係なく物を説明するときは大から小へ行うかと思います。 場所であれば、例えば豊島園の説明は以下の並びになります。 日本の、東京の、練馬区の、向山の、豊島園。 これが向山の、日本の、練馬区の、東京の、となると分かりづらくなります。 本作の最初の文は私のブラウザ上9行に連なる文章であり、作品の最初のため事前情報は ありません。そのためこの連なる一文からなるべく早く状況を察する必要があります。 そのなかで後部座席→シートベルト→子供→ハンドル→日付→路面→車体~ と細部から細部などへ激しく入れ替わり、9行読み終わった時点でも全体図は掴めません。 出だしでひきつけようという意図は理解できますので、演出を優先するのであれば、 二月の寒い~で改行し季節や全体の風景を説明し大まかな状況を把握させた上で、 再度改行し細かい動きへ移行したほうがよいかと感じました。 (続きます)
1件・2件
(続き) ●構成について 得意とする書き方が一人称視点だと感じましたので、 最初と最後以外で一人称を取り入れたのは良い点だと思います。 過度にグロを書かないために夢としたのも良いと思います。 ただ、常にお話がダウナー方面に一本調子であり失敗か成功かという緊張の要素も排除しているため、起伏がなく途中で飽きる読者も出るのではないか、と危惧いたしました。 恐らく作品の雰囲気作りもあってやめたと思いますが、導入で白鳥の車に乗り、母親に会えると喜ぶ直人の姿や皆が幸せで楽しい夢など子供も安心して読める作品のように読者を騙したうえで落とすという発想自体は風間さんにもあったかと思います。 私はそれを考
1件1件
 甚平様、ありがとうございます! 2ページにも渡るレビューを頂き、嬉しさいっぱいであります。  お褒めの言葉、噛みしめております。 ・会話文はなるべく自然な感じに砕き、かつその言い回しで読み手の方に状況を理解してももらえるよう意識したつもりでした。機能していてよかったです。 ・人間的と頂いた事故後の白鳥の対応は、僕自身がとりうる行動を投影しただけの部分もあるため、あんまり自慢はできません。汗 ・舞台の半分を夢にした理由には、おっしゃる通りグロ回避があります。お気付き頂き恐縮です。 ・構成や結末について、執筆時の意図に120%一致した解釈をたまわり、作者魂昇天です。僕からご説明するまでもなく、
1件

/1ページ

1件