本作(2)の人形売りは、一味違う。 相変わらず『透明感のある深き闇』を纏っているが、人間味が増している。 人間魅と言っても差し支えない。 まさか03で人形売りのあんな姿が見られるとは! 意外過ぎる一面を見られて、小躍りするファンもいるに違いない。笑 作品スタイルは、前作同様の連作短編。話をまたがずエピソードごとに読み進められる。 内容に関してはネタバレと先入観を持たれたくないので、控えますが、本作はより、僕好みのエピソードが多かったです。 時に社会の病理の中、畜生以下の人間を描く。 時に現代カルチャーの陰で伝承をひも解く。 サブカルやマイノリティなことに造詣が深い作者・ぜろさんならでは。 頭の中に引っ掛かる、様々なニュース。 誰もが目にし、耳にすることを、独自の洞察眼で描いてくれる。 一過していく出来事を、そこに留まらせ、切り取る。 僕はそこに立ち止まり、垣間見る。フォーチュンドールというカメラを使って。 本作の魅力は、『誰かの日常』をぜろさんが描くことにある。 素敵な人脈の多さと、高い感性、なにより、描きたいテーマが固まるまで動かさない『文字職人気質』があるからでしょうね。 3・4のような話が、同じ作品で読める贅沢さ。 人形売りは、フォーチュンドールを使って、救済をする訳でもないし、わざわざ愚弄しに来る訳でもない。 僕は、ドールは『因縁増幅装置』なのではないかと考える。 その人が抱える因縁のようなものを可視化して、濃度を高める。 だからドールの姿は、未来にもなり得るし、戻れない過去にもなり得る。 フォーチュンドール3でのご帰還をお待ちしております。
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ユウジロウさん、遂に!2のレビュー、拝読しました! 人間魅、とは、成程ですね。実は前回評して頂いた3.7次元というのも、膝を打ちまして、身内ではプチ流行語になりました(笑)。 03では本当に、意外性を出しまくろうと思いましたね。m9( ゚Д゚) ドーン!するより、自分から見守りに行く期間も長いですし、逆にm9( ゚Д゚) ドーン!されるっていう(笑)。ギャップ萌えしてくれる方がいたらいいなとは思います。割とお堅いキャラだと思われがちですが、結構読み込んでくださる方には、人形売りさんお茶目でかわいい人ですね、という声も1からちらほらありますので。飄々としたというかやや剽軽な部分も小出しに
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あ、一点追加で!(王将かここは。) 「救済か、愚弄か」に対してのアンサーをここまで明確に出してくれた人は初めてなんですよ。割と皆さん、救済だと、思ってるようなので。 僕自身としては、救済でも愚弄でもなく、人なのか人ならざるものなのかという3.7次元の傍観者が一歩踏み込むくらいの距離感で、ただ只管に人間(各話の登場人物たちすべて)の、泥臭い、愚かさ浅はかさ、はたまた純粋さや崇高とすらいえる情念、そのものを、読者に結末を委ねる形で提示してるつもりです。 救済か、愚弄か、と云うとミステリーな雰囲気も出てしまいますが、どう捉えるかなアナタは?と云う、人形売りのスタンスを僕が代弁する形でつけたコピーなん
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