橘 実来

『ありふれた、どこにでも落ちていそうな恋の話』 そんな物語紹介文がとても印象的だった『ありま座の恋』 ありふれた話を物語にしようとするのは、実はかなりチャレンジングな試みだと思うのです。ドラマティックなシチュエーションや、個性的なキャラ、イケメン美女がでてくると、それだけでも物語は起伏に富んで、作者としてはストーリーを動かしやすくなりますから。 でも待宵さんはあえてそれらを排し、極めて平凡であまり取り柄のない文具店営業七里くんと、可愛いけれど人見知りな結衣ちゃんを主役に据えました。 どうやって読者を惹き付けていくのだろう。ワクワクしながら読み進めていくうちに、待宵さんの、繊細な感情表現を駆使した情感溢れるストーリーにまんまと(笑)ひきこまれてしまいました。 2部構成の妙もお見事。 前半は七里くん視点の一人称、後半はなんと、ふたりの恋の舞台となる、味のある書店、ありま座視点の一人称なのです。 前半で、七里くんのなんとも煮え切らない行動にヤキモキしつつも、気持ちがすれ違う切なさ、重なりあっていくときめきは、待宵作品ならでは安定の胸きゅんがしっかり詰め込まれていて、じんじん痺れました( 〃▽〃) 後半のありま座視点も秀逸! ユーモラスで、ちょっとシニカル。でも温かい語り口調は、ストーリー全体を優しく包み込むよう。まるで絵本のなかにいるように、七里くんと結衣ちゃんの恋の成り行きをみつめる感じは、前半とはまた違う優しさと温かさに包まれていて。ストーリー全体に奥行きと彩りをあたえ、より深く心に残りました。 -end-をみたときにかんじた、最後まで物語を見届けた充実感と、それを勝るもっとみていたかったなあ、とおもってしまう寂しさ。 『ありふれた、どこにでも落ちていそうな恋の話』だと紹介されている本作が、読み終えたあとには、稀有な素敵な素敵な恋のお話だったと、まちがいなく感じられた証拠。 他の待宵さん作品とはまた違う魅力をもつ本作に、ぜひ浸ってみてください♪ きっと何度も読み返したくなってしまうはず、です。
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うわー、すごい。 さすが美空さん、レビューめちゃくちゃ上手い。 なんか恐縮です。これ小説概要にしたいくらいです。笑 更新、最後まで追いかけてくれて本当にありがとうございました。 コメントもいつも楽しく読ませてもらってました。(返事してなくてすみません。) 美空さんの書いてくれたとおり、いつもと違う風に書いてみましたが、気に入ってもらえて、そして完結まで止まらずに書けてほっとしてます。 俺も美空さんのレビュー、何度か読み返すことになりそうです。笑 ほんとにありがとう。
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待宵さん、こんばんわ♪ 拙いレビュー、喜んでもらえて嬉しい(*>∀<*) こちらこそ、素敵なお話を読ませてもらってありがとう(#^.^#)日々、ありま座をおいかけていたから終わってしまって寂しいなあ。 再読して気づいたんだけど、毎日すこしづつ読むのと、再読で一気に読むのとまた少し印象がかわるお話だったなあ、と。ああ、こんな柔らかい表現がこんなところにも! とか文章の流れ、こんな感じだったかあ、とまたしみじみよんでしまいました。ふくよかな、優しい、いいお話だった! 書き続けるのは大変だとおもうけど、これからもずっと待宵さんの作品よませてもらえたら嬉しい。本になったら買ってよむ
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