秋田県民に限定した挑発的作品タイトルにまず驚かされ、半分腰が引けた状態で表題作である『秋田県民虐殺計画』を読了。 2作目の『セクサロイド戦争』を読み進めながら、内容そのものの暴力性以前に、久しく味わっていなかった正体不明の不安感にさいなまれた。 安易に近づくべきではなかったかもしれない。 今の私はもしかして、虎の巣穴近くにうっかり迷い込んでしまったバンビ!?  脳内警報がビービーうるさい。すぐに退路を確保しろ! いまならまだ間に合う! 優しい物語・ハッピーエンドだけが好きなわけではない(もちろんそれもキライじゃない)。 ただ、ほぼ全編にわたる容赦ないバイオレンス描写と不敵な批判精神(文士たるものかくあるべしではあるが)は、どうしたって読者を選ぶーー自分がレセプターになれるかどうか不安だった。 ところが。 1、2話でおよびごしだったのが、3作目『ときめきメモリアル症候群』でシャキーンと背筋が伸び、以降は病みつきになってしまった。 恐るべき筆致。 バイオレンス描写に慣れっこになったわけではなく、不安がなくなった=「判った」からかもしれない。あくまで自分なりにではあるが。 私がすっかり没入してしまった大きな理由として、各掌編で過激・凄惨・猟奇的シーンをこれでもかと反復し、表面上はオーソドックスなホラー(というより、ゴシックときどきスプラッター)作品に仕上げているにもかかわらず、その底流にはむしろ幻想文学の系譜が垣間見える点があげられる。 よくある通俗的なホラーではなく、れっきとした文芸作品だよということが言いたかったのだけど。 作品を遠心分離機にかけてみれば、きわめて個人的なこの主張が当たらずとも遠からずであると解るはず(たぶん)。 スペースの都合があるので、最後に私が特に気に入っている作品をあげて終わりにしようと思う。 舞台劇を観ているかのような『魔城109』、マジックリアリズムの幻惑を堪能できる『さかな』、ただただ圧倒される『黒い純愛』、シュルレアリスムアートのような奇想世界で群集心をあざ笑う『メシアの作物』、そして現在連載中のコメディタッチかつシニカルな『恋愛戦争 3か月以内に結婚相手を見つけなければ死刑』。 これらはあえて選ぶのならであって、それ以外の作品もすべて粒ぞろいの秀作ばかり。 ぜひご一読を。
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これだけの質と量を持ったレビューをいただけて、感謝の言葉も見つかりません! シンプルにありがとうございます!と言うしかありません。 本当に感謝です。 特に何もお返しできないのが心苦しいのですが、少しづつですが、ご恩をお返しできればと思います。 拙いお礼コメントで大変申し訳ありません。
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いや、こちらこそ、ダラダラと長いだけで要領を得ないレビューですみません。 なんかもうそういう質なので、どなたのでもつい回りくどくなってしまいます+.゚(p゚´д`) わけのわかんないレビューをするという当初の目的は達成できたので、私自身は満足ですがw(←コラ) お返しなんていりませんよ! 気にしないでくださいね! 作品が気に入ったから、レビューしただけなんですから^^ 無料でこれほどの作品を読ませていただき、私のほうこそ感謝しています。 新しい掌編も楽しみです。
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