AtlachN

内容としては、非常に王道な悲恋の物語。 そこに「主役たちはただのコンピューター」という要素を取り入れ、そしてそれが十全に活かされていた物語だった。 8000文字というカツカツの文量制約の中で、尚且つ、感情移入が難しい「人間とは別の感性を持つ主人公」を用いながらも、見事に読者を物語に引き込んでいた。 序盤では“ツッコミ不在の恐怖”的なコミカルな恋模様が描かれ、それによって読者を感情移入させたところで、突如として喪失に陥れる。 「どうなってしまうのだろう」という気持ちを読者の中できっちり作った上での、あの結末。ただ悲しい末路の中でも、それでも彼らは幸せだったのかもしれないという、決して後味が悪いばかりではないエピローグ。 非常にテンポがよく、感情の浮き沈みが計算されていた素敵な物語だった。 ただ、内容としては素晴らしいのだが、タイトルがなんて読めばわからない上に、どういう物語かが微塵も想像できない。タグもなく、概要も書かれておらず、コメントすらない。 また、冒頭部分はとにかく文章がキツキツな上、セリフ部分も「」で区切られているわけでないから、「面白いところ」までたどり着くハードルが非常に高くなっている。 作品内容以外の部分でかなり損をしている作品であると、私は思った。

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