空木冬弥

 とにかく細やかな描写がなされていて、読者を自分の小説の世界に引き込んでやろうという、作者様の情熱が感じられました。情景描写の苦手な僕としては、大いに見習いたいです。  また、ただ物語が進むのではなく、作者様の考えや伝えたいことを垣間見ることができるという点でも素晴らしいと思います。  個性的なキャラクター、そして良く練られているであろう世界観とストーリーに感嘆しました。  しかし、ストーリーの進め方が少し平坦すぎるように感じました。  丁寧な描写で主人公と人々の出会いが描かれていて、読みごたえは十分でしたが、終始これではさすがに飽きがきてしまいます。  もちろん上巻ということもあり、下巻に向けての準備ということなのでしょうが、準備だとしてもやはり見せ場は作るべきかなと思います。(個人的には特に何も起こらない日常系の物語も好きですが、この作品に関してはもう少しめりはりをつけるべきかと)  さて、個人的には下巻でのこれからの展開がとても楽しみなのですが、僭越ながら少しアドバイスをさせて頂こうと思います。作者様にとっては承知のことばかりかと思いますが、ほんの一部分でも参考になればと思います。  まず、これから事件が起こっていくと思いますが、その際は、主人公を一度どん底まで叩き落とすくらいの展開にした方が面白いはずです。そのときの主人公の苦しみや葛藤に共感が生まれ、その先の選択や成長が物語の醍醐味となります。  また、主人公が物語の中で手に入れた存在も大切です。それは仲間だったり、キーアイテムだったり様々ですが、そういうものの助けを借りて、主人公が本当の意味で成長していく展開は絶対に面白いはずですから。まあ、これに関しては、十分すぎるくらいの伏線を用意されているようなので、上手く使ってください。下巻が待ち遠しいです!  最後に文体に関してですが、これは何が正しいのかもわかりませんので、個人的に感じた事だけいくつか羅列します。無視して頂いて全然かまいませんからね。 ・三転リーダは“…”を偶数個使います。通常は”……“か”…………“程度です。 ・“!”や“?”のあとはスペース一個分開けます。 ・言葉の途切れをローマ字で表現していますが、個人的にはやめた方がいいと思います。  これくらいですかね。  偉そうに長々と失礼いたしました。下巻も楽しみにしていますね!  

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