りかりー

いつも応援ありがとうございます。お礼にミニ話をプレゼント(*´∀`) 『オレ様のシモベ』傘の中の恋(前編) 零ちゃんは他の女の人には優しいのに、わたしにはすごく冷たい。 いつだってオレ様で意地悪で…… だけど時々涙が出るほど甘い時もある。 「ふみ、おまえ。傘を二本持ってきてただろ?寄越せ」 「あ、傘は……えっと、貸しちゃって…」 「なんだよ、二本ともか?」 零ちゃんは呆れ声で言って、昇降口から空を見上げた。 空は雨雲が立ち込めてて雨はやみそうにない。 「仕方ねえな。小降りになるの待ってるか」 零ちゃんは珍しく一人だった。 こんな偶然じゃないと零ちゃんとふたりでいられない。 雨は小降りになるどころかだんだんひどくなる。 隣にいた零ちゃんの腕がトンと当たった。 「なんだか眠いな。雨、まだ止みそうにねえし」 零ちゃんは人が疎らになった昇降口の端っこに腰を下ろした。 「ふみ、おまえ、枕代わりな」 ぐいっと手首を引き寄せられて、寄りかかるように肩に零ちゃんの横顔が乗っかった。 とてもきれいな顔に心臓がドキドキしてる。 零ちゃんの香りと穏やかな寝息に、ずっと雨が止まなければいいのにって思ってしまう。 このままふたりでいられたらいいのに。 「あれ、一条くん?もしかして傘ないの?」 濃厚なバラの香りがして見上げると、いつも零ちゃんのそばにいる生徒会副会長が眠ってる零ちゃんを起こしてしまった。 「家に帰るんでしょう?お迎えの車が来るから送ってくわよ?」 車が校舎の横に停まって傘をさしたスーツ姿の男性が迎えに来た。 副会長が零ちゃんを引っ張って立たせた時、 「ふみちゃんは俺が送ってくからさ」 えっ? 振り返ると雅也先輩が傘を片手にわたしの手を取った。 「あの女は一条を好きなんだ。邪魔するなってこと」小声で言われて、あ……そうなんだ。わたしったらニブイんだから。 胸の奥がズキッとした。 零ちゃんはじゃあなと言って、副会長の車に乗り込むと行ってしまった。 去ってく車を見送り涙が出そうになった。 雅也先輩はわたしが雨に濡れないようにと傘を傾けてくれた。 「俺、今までふざけてたけど、ふみちゃんのこと本気の本気なんだけど」 え? 「俺の女にならないか?」 雅也先輩に相合い傘の中、抱き締められていた───
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零ちゃん 戻ってこーい
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