明智 颯茄

 我が家の女装夫、月命(るなすのみこと)。  女装がとうとう趣味となって、数日経過するわけです。  服はオーダーメイドで、少しずつ枚数が増えている現状。  今日はラーメン屋に行ってきました。 「月さん、何食べるんですか?」 「僕は煮干しの醤油です〜」  ここは普通。魚好きなので。ですが、こっちに向かず、何か手元でやっているわけです。 「何してるんですか?」 「乙女ゲームです」  とうとう、そこまで乙女チック仕様になって……。よく見れば、清楚なワンピースを着て、クマのぬいぐるみも抱えているじゃないですか!  こんな、夏休み中の男性小学校教諭です。 「蓮が落ちないんです〜」  よく聞くと、我が家をモデルにした乙女ゲーのようで、月命がゲーム中の蓮を攻略中と。 「現実は落とせたのに、ゲームではできないんですね」  蓮にプロポーズされて、月命は明智家に来たのに……。  そうこうしているうちに、午前中の修業を終えた夕霧命がやってきた。 「俺がやってみる」  男二人で、乙女ゲームを見つめるの図。  それでも、落ちない蓮。  ここは、妻の番ですかな? 「蓮は好感度だけ上げても、落ちないです。他の技術とかも上げないと……動かないです」  しばらくののち、ゲームの中の蓮が珍しく微笑む。 「おや〜? そうみたいです〜」 「確かにそうだ」  それはともかく置いておいて、月命の乙女チック仕様は過激化している。眠る時には、ピンクのウサギを抱いて眠るのだ。  まぁ、それが月さんなんで、全然いいんですけどね。  いや、可愛い月さんを見るのが何よりの幸せなんです。
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