syasendou

ホラーに求めるものが全て詰まっています
伝奇小説に求めるものが全て詰まっている誠実なホラー作品。主人公の恵那がどういう人間で、どんな背景を持っているかの説明から理不尽な怪異に遭遇するまでの流れが恐ろしくも美しく、描写の一つ一つに全く無駄がありません。日常を確実に蝕んでいく恐怖の中で、恵那の母親の優しい台詞たちが灯火のように読み手の心も温めてくれますが、この温かささえも何処か不安を煽るようで恐ろしいです。まるで夜道を手元の明かりだけで歩かされているようなこの塩梅……。物語がどんな顛末を迎えるのか、今から楽しみです。
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