ファンタジーを装ったリアル
かなり複雑な構成ですが、登場人物の書き分けも秀逸で、混乱せずに読み進むことができます。 作者さんが神戸の震災を経験されていることが、物語を単なるファンタジーとは違う次元に押し上げています。 転生系の物語ですが、普通のファンタジーなら、「生まれ変わってまた会えてハッピーエンド」ですが、ここでは不幸は不幸として乗り越えなくてはいけない少年たちの姿があります。厳しい現実があります。 唐突に出てくる鎌倉末期の戦シーンや、アルコールで精神を病んだナナの母親は、不幸を乗り越えられなかった悲しい例として心を突き刺します。つらい描写ですが、二人の少年の未来が、その対極にあることも暗示され、読者は救われます。 バースマークの謎を、女子高生のガールズトークで知るというのは、なんともポップですが、カルトな教祖や興ざめな妖精が出てこないようにする手法としては効果的です。 作者さんの深みがわかる、素晴らしい短編。
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こんなに、感想をいただけるなんて、思ってもみなかったので、恐悦至極にございます(;ω;) また、お忙しい中、最後までお読み頂いたこと、重ねて感謝いたします。
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