小椋水緒

ハナヒロ、現実にいてほしい!!
 美形芸人コンビが主人公のBL……めっちゃ好みやん!! と思って読み始めたこのお話。だけどそれだけではない魅力にあふれていました。  まずは、主役である芸人コンビ、ハナヒロの2人がめっっっっっちゃくちゃ可愛い!!  完璧な容姿なのにお笑いのセンスがちょっと残念で超天然な(いや、そこが魅力なのですが)ヒロくんと、超絶な可愛さの持ち主でありながら、頑張り過ぎて心の調子を崩してしまったハナちゃん。それぞれの苦境にありながら互いを思いやる2人にきゅんとなりました。2人がぽつぽつと関西弁で語り合う姿には癒されます。関西弁って、こんなに可愛い言葉だったのかと思います。  そして、2人を見守る脇の人たちの個性とはっちゃけぶりが半端じゃない。  カリスマっぷりが突き抜けている写真家の宮本巨匠、ベテラン芸人としての貫禄がリアルなオイリー先輩、強面なのにツンデレな中身が可愛い俳優の鋼一徹など、誰もが主役を張れそうな強烈なキャラの持ち主です。  良いなと思うのは、時にハチャメチャな行動をとりながらも、彼らの誰もがハナヒロの2人を大切に思っていること。初めはひっそりとしていた2人の周囲が、個性溢れる面々でにぎやかになっていく過程は、読んでいて嬉しく、あたたかい気持になります。  それから、作者であるすいかさんの書く文章の魅力。  端正な文体にぐっと引き込まれたかと思うと、不意にくっと笑いを堪えさせられたり、時に爆笑させられたり、おいおいおいおいと10回ぐらい突っ込みを入れそうになったり、そうかと思えば健気な2人にほろりとさせられたり、泣かされたり……。もうとにかく目が離せません。  あとがきにも書かれていましたが、ペコメがライブ会場のように盛り上がるの、わかります(でもまさか確信犯だったとは!)。本当に、この盛り上がりも含めてこのお話の魅力だと思います。  ラストシーンは本当に大好きで、ハナヒロのようなコンビが現実にいてくれたらいいのにと思わずにはいられませんでした。  終わってしまったことが寂しいです。また再び、お話の中で会えることを願っています。
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