青木ぬかり

強き者の葛藤……それは共感に値するもの、ですよね。
 本編は、おそらくシリーズ中では〝前半の終盤〟に位置する物語なのだろうと思います。  本編によらず本作で描かれる〝強き者たち〟は俗にいうチートの概念を含みますが、一般的なチートものと一線を画すのは、その能力をもって万事解決とはならない点です。  本編にて主役たる澄男が相対した〝裏鏡〟もまた、冷酷な中にも大きなドラマがあることを偲ばせる存在です。  ファンタジーならではの〝強大な力〟を持つ者同士の人間くさい「感情」と「理性」のぶつかり合い……。  それがみごとなコントラストで描かれています。  そして、さらなる大きな物語を確信させる本編の締めくくり……。  今後の展開を予測したところで、いい意味で予想を裏切られるのでしょう。  予想の範囲にない展開……。  それを期待させてくれるシリーズです。
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