百合棘

何でもないファンタジーの裏に隠された、切ない物語
森に迷い込んだ一人の青年。その森には吸血鬼が出る。その青年は姉を探す為に危険を冒して森に入った。 ここだけ見るとありきたりな設定に見えてしまう。しかしこの作品の本質はここにはない。短編小説なのにたっぷりと読み応えのある過去編から垣間見える切なさなのだ。 人を助けたからといって相応の感謝を貰えるとは限らない。自分がどれだけ酷い目に遭っても、それを知らない人の前では自分は別に何でもない。 ファンタジーの蓑から顔を出すそれらは、的確に私の心を抉ってきた。 最後の文を見ればきっと、この作品のファンに、そして言い様のないいい意味での苦しさが胸を襲うだろう。
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