ホラーの枠を超え、感動させるヒューマンな作品
(↓以下、ネタバレが少し入ります) 〜小学5年の敦は、親友・智樹のからかいがきっかけで、好きだったはずの好江をいじめるようになる。 敦の言葉の暴力は日に日にエスカレートし、遂に、好江はマンションの屋上から・・・。 そして、好江の死のちょうど一年後、智樹は急に不登校になり、デパートの屋上から飛び降りてしまう・・・。 好江が死んでから2年目、敦の聴覚に異変急に起こる。 音声が途絶えて聞こえるようになり、次第に、ある文章が浮かび上がってきたのだった・・・〜 小学生のよくある日常が、思わぬ方向へと流れて行き、主人公・敦の、表に出せない本当の気持ちが徐々に綴られていき、切ない思いにさせられます。 自分の子供っぽいイジメから、本当は好きだった子を死に追いやってしまった苦悩。 しかし、好江が死んでしまった本当の理由は、もっと別のところに。 その理由からたどり、真実は以外なところに導かれていく・・・。 「みんなに知られたから」そんな理由で好きな子をいじめてしまう、思春期の男子の何気ない日常や、罪を背負った敦の苦悩、死後の世界、そして、死んでしまってもお互いを思う心・・・ それらを、テンポ良く書き進め、無駄な文章はいっさいなく、暗くなりがちなストーリーを爽やかにまとめているところに、井湧氏の作家の力量を感じます。 半ばから後半は、まるでトリックを解いているような感覚で、緊張感をラストのシーンまで力強く引っ張ります。 この作品のジャンルはホラーなんですが、私はヒューマンかミステリーでもいいのでは?・・・と思っています。 ラストでは、ちょっと恥ずかしいのですが、私、かなり泣けました😭 おススメしたい作品です☺️

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