honolulu

白昼夢 サヲリを読了して、、
何作かサヲリさんの作品を読ませていただいて、 人は恋する人に対する強引なほどの強い気持ちと裏腹に、自分への深い偏愛を持っている、というある意味アンビバレンス的なものを描くのがとても上手い作者だと思っています。 今回の作品は 最初は同性への恋心の挫折から女の人と交際していくくだりが描かれていて、 なんとも平凡(ごめんなさい)に運ばれていました。 それが、 初の自覚した片思いの相手で更にその結果は振られたあの人との再開を機に、 作者に仕込まれた螺旋に絡まれていく、読者も主人公と共にどんどん絡め取られていきます。 物怖じせず内面起こすような言葉を使う友だち、 控えめに見せて強引さを持つ彼女、 そして主人公を翻弄するのは初めての片思いの男。 所々に散りばめられたヒントはやがて、 主人公の中に影を落とします。 それは優しさの中にジレンマを抱える彼を惑わし、 それは眩しい光の中で見たものを時が経っても掴みとれない彼を翻弄していきます。 あの日、少年から青年に変わる頃に囚われていた強烈な閃光のような初めて強く自覚した恋の存在。 そしてまた、偶然を装いながら巡らされた相手の策のなかで彼はもう一度その置いてきた夢に再会。 最後のシーンが白昼夢 (それが白昼夢だったとラストで気づかせる手腕に感服しましました) という題と相まって、とても鮮烈な印象でした。 表面だけ見て皮肉的に言うと、 この主人公は、 二兎を追う者は一兎をも得ず なのですが、 しかし彼の視線はいつも彼女には冷静だった事が一つのしっかりとした流れを作っていました。 彼は二兎は追ってはいなかった。 読後、 伏線に敷かれたすべてのストーリーが細部のキャラクターに至るまで、現実を映しているなかで、 彼への思いだけが透明で手の届かぬ叶えられぬ夢だったのかと…… 初めて他人に持った執着を 白昼夢と名付けた作者に 脱帽でした。
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ごめんなさい、ネタバレしそうな感想はコメントに書くほうが良いのですかしら……
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honoluluさん!! 読んでくださり、そしてペコメもレビューもありがとうございます!! 身に余るお言葉の数々、本当に感謝と恐縮でいっぱいです…! 熱い感想をいただけてとても嬉しいですヽ(;▽;)ノ 本当にいつもありがとうございます!!

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