笹霜(隠居)

遅れましたが、前編のまとめ感想を改めて綴らせて頂きます。 一言で言うと、この作品には、凄まじい競馬愛が溢れています。 重厚過ぎる程の人間ドラマ、丁寧に描かれた心理描写。 そして、競馬というスポーツの躍動感。生き物であるが故のドラマチックが描かれています。 競馬は、ただのギャンブルと認識されがちですが、そうではなく。ドラマなのだと。そこに生きている人がいて。そして命を賭けて走る馬がいるのだと再認識させてくれる作品です。 そして従来の競馬小説とは一線を画すストーリー構成と登場人物が特色です。 ギリギリの崖っぷちの、超零細牧場を父から継いだ主人公勘助。 アイドル崩れ、自殺志望のヒロイン秋華。 主人公とヒロインの行く手を案じ続ける、二人の親代わりとも言える芝さん。 主人公の父、兼続と友誼を結び、勘助にも目をかける牧場主、古川。 かつて一線で鳴らしたジョッキー、柴名、そして紀村。 父の難局を受け、大手牧場を継ぎ切り回す若当主、秀馬。 その秀馬に想いを寄せる豪胆マシンガントーク秘書、桜花。 その桜花に横恋慕する暴力団八島組の若頭、八島奈落。 そして奈落を必死に諌めつつ、八島組の行く末を案じる蘇武輪。 奈落と組み、秋華を取り戻そうと企む悪徳プロデューサー、康本。 ―――この時点で濃い面子ではありますが。 さらに。 知床に住まう、圧倒的神力を誇る土地神様。 そしてその土地神様に付き従う少女、レクサ。 ファンタジック展開も全開です。 現実には種牡馬となれなかった、道営のエース、コスモバルク。彼の一粒種、トシローを巡ってのドラマです。 土地神様や古川と渡り合ううちに、力強く成長を遂げてゆく勘助。彼やトシローと関わるうちに解れてゆく秋華の心。 そして、芝さんと土地神様の知られざる因縁。 秋華と桜花、一見関係のない二人の間に匂わされる関係。 そして、競馬シーンも。 ワールドクロックス、ミツアキインパクト、ザラスシュトラ。この三強を巡るドラマ。 後半に向けて更なる登場人物も。 高知競馬で腕を鳴らした騎手の少女、長曾我部葉月。 桜花を案じる、謎めいた少女、舞雪。そしてその彼氏で、秀馬と交誼を結んだ、音無霧夜。 競馬場で穴馬券を次々に的中させる謎の『ミラクル兄さん』。 どこかで見たようなキャラも沢山いて、笹霜大歓喜大満足の前編でした。 後半も、楽しみにさせて頂く次第です。 謎なレビューになって申し訳ありません<(_ _)>
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はあああっ(@゚▽゚@)感動で涙が出ますよ(T-T) とても丁寧にレビューありがとうございますm(__)m いやぁ、あまた頂いたレビューのなかでも、(勝手に)目標としている小説の作家さんに、ここまでの評価を頂くとは夢にも思わず(感涙) 今後ともよろしくお願いします(;_;)

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