有名私立大学に入学した朱莉は、小学校の時の経験から“気の強い本性”を隠して“いい子”を演じながら暮らしていました。
そして彼女は『経済・経営トライアルゼミ』に入り、二人の苦手な人間に出会います。見た目はハイスペックで頭脳明晰ですが厳格な先輩“甲斐”と、いかにも男受けしそうな可愛い仕草を見せる“優菜”でした。
彼らとの大学生活の中で朱莉の周辺で起こる様々な出来事が、彼らへの苦手意識を変遷させて行きます。特に甲斐先輩に対する意識は、彼のテニスの試合や他の男性からの告白を通じて、まったく異なった感情へ昇華していきます。
そして朱莉はもう一人の苦手意識を持つ人物がいる事に気付きます。それは・・
この作品は人間の苦手意識を様々な視点から解きほぐし深堀しながら進んで行きます。それは登場人物の綿密な感情表現と共に語られて行き、そして最後はステキなラブストーリーにステップアップしていきます。読者はページを読み進む内に、この物語に魅力に引き込まれ、一人一人の登場人物の想いに触れながらラストまで一気に駆け抜ける事が出来ます。本当に魅力的な作品に仕上がっていると感じました。
最後にタイトルの『ambivalence』ですが、🐧は“迷い”という訳で理解をしていました。しかし読了して『心模様は迷い』? というタイトルではしっくり来なかったので英英辞書を引いてみました。そうすると・・
『Ambivalence: the state of having mixed feelings or contradictory ideas about something or someone』、日本語に訳すと『何かまたは誰かについて複雑な感情や矛盾した考えを持っている状態』という記述を見つけました。
これでスッキリしました。作者のレド🐰さんはタイトルを見た読者にも『苦手意識』とは複雑な感情や矛盾(誤解)から発生するものだと暗示させる為の仕掛けをしていたのか・・と改めてレド🐰さんの凄さを感じる事が出来ました。
素晴らしい作品ありがとうございます!!
みぐ