【コメント】巧みな話運びと人物描写

秋の始まり

巧みな話運びと人物描写

最初から最後まで、「あー、これこれ！」と、共感しながら楽しませていただきました。特に好きなのが、主人公の彼氏くん。選ぶ言葉の１つ１つが、「そこでそれ言う！？」「でもこういうこと、あるある！」と、日常生活の中にちらほらと現れる「自己顕示欲」を上手に表現していて、それだけで面白い。そのセリフを言わせる場面の運び方もきれいで、本当に１組の男女のデートを見させてもらっているような、そんな気分になりました。ラストのシーンもとても好きです。それまでほとんど接点のなかった２人が、「思いやり」というたった１つの要素だけで、ピタッとくっつき、自立していく。少女たちが自分の意思で前に進もうとするラストに、「始まり」というタイトルも合っているなと思いました。人と人を真の意味で繋げるのは、思いやりなのかも……さて、自分はできてるかしらと、良い意味で振り返らせてもらえる作品でもありました。素敵な作品を、ありがとうございました。

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