紅屋楓

豊かに綴られる命の物語
あらかじめ自分の寿命を把握して生きる、近未来・日本。人々は寿命の長さにより短命者、一般人、長命者と区分される…… 短命者が施設に入所し、余生を幸せに過ごせるよう政府が動く様や事件が発生した際の長命者と短命者での対処の違いなど、ごく自然に「命の選択」がされているようで、そこにもの悲しいリアリティがありました。SFの雰囲気がありながらも現実を入れ込むのがとてもお上手だなと感じます。 また表現力も豊かで、たとえば動揺を「青とピンクが、完全に混ざり合う手前のような」と色で表すなど、表現や配色に至るまでセンスがありました。 梓が寿命を待たずこの世から消えた理由や2068年時の佐海、四冊の日記など、まだまだ気になることがてんこもり。 今後の展開を楽しみにしております。 透き通った雰囲気をもつ良作です。 他作品を拝読したときも感じましたが、題材や表現など豊かな感性で作品を生み出す書き手さんです。
1件

この投稿に対するコメントはありません