これは中々に面白い
 ご機嫌いかがかな、ミス・コロン譲。ご指名頂き光栄だ。第一幕まで読んだので、きりがいいこの辺りでレビューさせて頂くよ。誠心誠意させて頂こうとは思っているが、何しろ物語というものに自分の意見を述べたことはないのでな、何か不都合があったらすまない。まぁ、肩の力を抜いて気楽に聞いてもらえればと思うよ。  あぁ、――そうだ、自己紹介がまだだったな。これは名乗り遅れて申し訳ない。私はウィンチェスター侯爵家嫡子、ファルマス伯ウィリアム・セシルだ。以後お見知りおきを、ミス・コロン。  ではまず正直に言わせてもらおう。  ――なかなかに面白かった。書斎で息抜きにと思って読ませてもらったのだが、思わず仕事も忘れて読みふけってしまったよ。私はハーレクインというものを初めて読んだのだが、ラブロマンスを想像していた私にとっては予想を裏切られ、逆に読みやすく安心した。実は愛だの恋だのというのは苦手でな。ジャンルが恋愛だと聞いて、情けないが最初はしり込みしてしまっていたんだ。けれど読み始めたらそうではなく、オペレッタを見ているような気分で――こう言っては何だが、どこか爽快な気分だった。  そう感じた一番の理由は恐らく登場人物のせいだろう。どの人物も実に魅力に溢れているし、そしてまたストーリーも文句なしに面白い。特にモルドとベルジの掛け合いなんかは傑作だったな。貴族とはまた違ったユーモアと教養に溢れていて、これは是非私も見習わなければと思わされた。  シーラも強い女性だな。時代背景的に言えばやはり女性の地位はまだまだ弱いのだろうと推察したが、彼女は男気溢れる女性で、見ていて潔さを感じたよ。思わず私の婚約者を思い出してしまった。    あとは、そうだな。一見会話が多くライトな印象を受けるが(実際にライトな会話なのだが)、肝心のその内容はキャラの特徴だけでなく世界観まで上手く表されている。  コロン譲の手腕に御見それしたよ。きっと貴方自身が魅力溢れる女性なのだろう。    なんだか唯の感想になってしまっているな。――レビューというのは意外に難しい。  あぁ、そうだ。一つだけ気になったことがあった。それを言っておこう。  
2件・1件
 内容とは関係ない話になるし 先ほど話したことと被る内容になるのだが、――この作品は恋愛ジャンルよりもファンタジーにした方が読者とマッチするのではないかと思うが、如何だろう?変えてみる気はないだろうか。  世界観的には間違いなくファンタジーであるし、おそらく恋愛ジャンルの読者というのは、好いた好かれた、というような、つまり私の最も苦手とするロマンス的な愛を描いた作品を好むだろうと思うんだ。だがこの作品はそれには当てはまらない気がしてな。  シーラとミハエルはなかなか一緒になれない。いつまでもすれ違う。だがそのすれ違いは、恋や愛とは別のところで起きているだろう?それが、恋愛よりファンタジーとした

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