魔王源

「ジャンル」ってのを規定するのが嫌いだ。それは少なからず物語の展開に影響を与えるから。「恋愛」ってジャンルを選択したら、恋愛要素を入れなきゃいけないという意識が働く。そうしないと詐欺だっていう、妙な責任感が出てくる。責任感は直感を狂わせる。作品のあるべき形を見失わせる。できればジャンルなんて決めたくない。 だが、コンピュータ上に作られたシステムはジャンルを要求する。ジャンルは作品を規定するプライマリー・キーであり、未設定のままでは登録エラーとなる。何故ならば、正確な集計ができなくなってしまうからだ。それはシステムにとって、都合の良くないことである。人間が運用するシステムと違って、コンピュータはこの辺りの融通はまったく効かない。(同時にそれは、とてつもなく「公平」ということなんだけど。 これは新しい形の「社会の厳しさ」である。僕達の世代は、このような形の「厳しさ」と付き合っていかなければならない宿命を背負っている。けれども創作者としてある以上は、この種の「厳しさ」に対して、抵抗を続けていきたいと思う。これって子供の頃からの使命感みたいなもので、自分の創作意欲のコアにある。 理由なき反抗。 反抗するための反抗。 手段と目的がひっくり返った反抗。 僕は、そういうものを、とっても大切にしている。 もう歳だし、いい大人なので、下手に反抗するとすさまじい社会的制裁を受けるんだけど。 それでも。 生きた証としてそういうものを自分の中に残していきたい。 少なくとも、小説を書いているときくらいはね。
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