倉橋@新作発表

純文学への傾倒・・・ユッキー氏の新たな挑戦を祝し、氏の文学を探る・・・
 ユッキー氏は、氏の家族でもある愛犬のシーを狂言回しに自身の経験を基にしたと思われるエッセー風の小説を執筆してきた。  愛らしいシーの画像と共に多くの人気を獲得してきたのは衆知の通りである。  しかしある時期より氏の作品は、現実離れした出来事を扱う現代の寓話へと変化していった。  ここ二、三作を読む限り、明らかに純文学を彷彿させる世界である。  一応、現代が舞台となっているものの、作中の警察の実際の組織とは乖離した扱いを見ても分かるように、氏の思想、主張を具現化するための「ユッキー氏の解釈した現代社会」が舞台となっている。  安部公房の小説が奇想天外の極のように見えても、それは安部の思想によって解釈された現代社会で展開される安部の思想を表現した寓話なのである。  ここで安部公房の名前まで出して、ユッキー氏の作品を語るのは、ユッキー氏の作品をもっと深く理解して欲しいという思いからである。  現在、ユッキー氏の作品の舞台となっているのは、邪悪極まりない醜悪な「架空の世界」なのである。  それは氏が解釈する現代社会の姿でもある。  これでよいのか?あなたは何も感じないのか?  森で展開するストーリーは現代社会への警鐘であり、怒りであり、問題提起である。  この作品の主人公である小人達の姿を、どうか真剣に時間をかけて思い浮かべて欲しい。  小人の姿、彼等の言動に、ユッキー氏が読者に投げつけてきた現代人への怒り!そしてこの社会をどうしたらよいのか逡巡するもどかしさを感じる時、我々はこの小説をもっと理解することができると信じている。  ユッキー氏の問いかけに私はどう答えたらよいのか?  いまだ結論は出ていない。  
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倉橋さんいつも素敵なレビューありがとうございます😆
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