やまと常盤

本当に怖いのは。
主人公の倉川。彼女の視点で進むお話。「人」を救いたいという思いは、彼女にとっての1つの正義なのかもしれない。しかし、その救う方法が大多数の人間と異なる。いわゆる、人はこれを異常な行動と呼ぶだろう。異なる=予期できない。対処ができない情報、状況とは自分の未来が読めない。それが私達はどうしても怖いのだ。 この物語で面白いのは、まさに異常者と呼ばれるべき倉川の視点で書かれていること。倉川は今回の行動を「救い」としている。彼女にとってこれは異常ではなく、至極真っ当な正義。恐怖など微塵も思わない描写である。倉川にとって、これは苦しむ人を救済する感動の物語。 よくある学校生活のひと時。学校に響き渡る生活音、夕方の湿っぽい雰囲気、太陽が沈み気温が変化する様。なんて事ない日常の中に浮き出た他者と異なる彼女の行為。私の背筋は固まり、凍りついたのは言うまでもない。 第三者の心情描写がない。ということは、真の恐怖を感じているのは戸崎ちゃんでも、ペンケースを取りに来た子でもなく、読者である私達なのだ。それに読者は気付いた方がいい。更なる恐怖を味わえる。 私が最も秀逸だと思ったのは倉川の人の話に耳を傾けないgoing my wayな性格が、倉川の心情である地の文と、相手の会話文とのギャップで読み取れてしまうこと。性格の説明などなくとも、やはり倉川が人と異なる事がわかってしまった。 強いて言えば、壮絶な虐めをする戸崎ちゃんと、戸崎ちゃんが殺されたことに歓喜するペンケース女子も異常だろうが。 長々となってしまったが最後に一言。自分を異常としていない異常者倉川の視点で、彼女が異常であることをこんな短いページで表現できてしまう作者様に私は恐怖した。 良いホラーをありがとうございます。 大変美味しゅうございました。
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やまとさんやまとさんやまとさーーーーん!!!!真夜中に失礼します……もの凄く読みこんで下さったレビューをありがとうございます。゚(゚´ω`゚)゚。 すげぇなあぁ…もうこれだからやまとさんほどの文字書きさんから頂くレビューは…嬉しすぎて死にそう。 書いてた時に頑張っていたところを根こそぎ見つけてくれるやまとさん好きすぎる…。終盤はもはや訳が分からなくなってきて「これサイコパスか?ちゃんと異常者に書けてるんか?」と自問自答してたので、倉川を異常者として読み取ってもらえたのが本当に嬉しい。 最初は三人称で書こうとしてたのを途中で倉川視点の一人称に変えて、それが書きにくすぎて心折れそうだった
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