けいたん氏の作品を読み解く・・・
 この作品は連載中ではあるが、是非とも多くの人にお勧めしたくて筆を執った。  けいたん氏はすでにエブリスタのコンテストで数多くの優秀賞を受賞している。  エブリスタのコンテストで入賞をめざすなら、まずけいたん氏の作品に目を通す必要がある。  本作品は異世界(未来という設定だが、中世のようにも思える)のダステレミア王国が舞台。  王国の平和を蹂躙する人狼や吸血鬼などの「異形者」と戦う日本人少年、ジェフリや神官、リュヘル道士の活躍を描く。  単なる異形者との戦いに止まらず、王国内で水面下に展開する権力闘争、それぞれの思惑を秘めてリュヘルに近づく人々も絡み、リアルで壮大なスケールの物語が展開する。  氏は、この作品をファンタジーと位置付けているが、「暗黒ファンタジー」と呼ぶのがふさわしいのではないかと思う。リア充満載のお気楽ファンタジーとは全く違うし、やたらと舞台や登場人物の設定が大時代的なファンタジーとも一線を画す。  この小説のけいたん氏らしさと云えば、氏の他の作品にも全て共通することだが、読者に媚びない独特の世界の一語に尽きる。  単純な悪役は登場しない。ハッキリした悪役を登場させた方が小説としては分かりやすくなり、正義の勝利の爽快感が際立つ。  けいたん氏は、そうはしない。主人公の敵側の人間も含め、個々の人物が非常に掘り下げられて描かれている。  けいたん氏の作品では、登場人物の持つ様々な人生、主張が激しくぶつかりあってストーリーが展開する。従って作品的に重い印象を受ける。  読者をなごませる単純なコメディリリーフも登場しない。従ってどの作品もリアルな印象を受ける。  「重さ」「リアルさ」「安易なユーモアの排除」。  氏が作家をめざす場合、この特色を最大限発揮できるジャンルを見つけることが、今後の課題となるかと思う。  その観点に立つと、人類と異形者の対立を描いた本作品は、氏の作風にピッタリな世界であり、遂に力を注ぐべきジャンルに辿り着いたのではないのかと、ファンとして大きな期待を抱いている。  小説としての面白さを味わうだけではない。  エブリスタで作家をめざす人々は、今述べたことを念頭に入れて本作品を読み進めれば、けいたん氏と共に大きく飛躍するチャンスがあるものと信じている。    
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こんにちは(=^ェ^=)けいたんです。 この度は、『時計塔に棲む竜』にレビューを書いてくださいましてありがとうございます。 小説を書く。 そして、書籍になるのが到達点のひとつであるのならば、自作の特徴を掴まなくてはならないと、レビューを拝読し、理解しました。 重さと暗さ、ダークな作品を書こうとしているのではなく、自分の心に問いかけるとこうなってしまう…悩み深く、書き綴ることで答えが見つかるのでないかと、模索しているのだと思います。 ジャンル分けが出来ない作品だと、ご指摘を受けることがあります。 『自分が読んで楽しいものを書きたい』という大前提が常にあるために、自己完結してしまっているの
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