那由多

私の中には悪魔が住んでいる。 そいつは、私がピュアッピュアな物語を読んでいると、頭の中で突然わーって叫び始めたり、登場人物に突っ込みを入れたり、リンボーダンスを踊り始めたりして、私がピュアッピュアな気持ちになる事を阻止しようとしてくる。 一体、いつからこの悪魔は私の中に住んでいるのだろう。 思えば初めて「星の瞳のシルエット」を読んだころ、私は最終巻でちょっと泣いた。ていうか、白石君と沙樹の件でまあまあ混じ泣きした。その頃、私の中に悪魔は住んでいなかった。マジ泣きした事からもそれは明らかだ。 作品を読んでいる間、入れた突っ込はただ一つ。 「久住君、君が食べているそれはサンライズというのだ。真のメロンパンはラグビーボール型をしていてだね……」 これは悪魔ではなく、私の中に流れる神戸人の血がそうさせたので致し方のない事である。 それ以外はただひたすらにドキドキハラハラしながら読んだ。 高校生編のオープニングでうっかりやらかしてしまう所では部屋中転がって悶えたものだ。 だが今はもう無理だろう。 正直、最後まで読めるかどうかすら怪しい。 全てはピュアッピュアを叩き潰そうとする悪魔が悪いのである。
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