八神ユーリ

『異世界テンイ!』〜略〜…続きの続き。 ーーーー 「よし、今度こそ!」 翌日。壊れたロボットの修理も終わり、昨日失敗したダンジョンへと再度挑む涼。 「大丈夫か?」 「おう、昨日は複数を相手にしようとしたのが間違いだった…今はまだ装甲が薄いから、一匹ずつ相手をしないとな」 モニターを眺めながらのおじいさんの問いに涼は昨日の反省点を口にしてコントローラーを握り直し、ロボットを操りダンジョンへと入って行く。 「リョウ!さっそく出て来たぞ!」 モニターの端のレーダーに敵影を捉え、おじいさんがそう告げると1mほどの大きなネズミ型の魔物が姿を現す。 「昨日はコイツの群れにやられたんだったな…だが今日はそうは行かないぜ!」 涼は慣れた手さばきでコントローラーの十字キーやボタンを押してロボットを操作し、危なげなく魔物を退治する。 「はっはー、昨日は初めてだったから遅れを取ったが…慣れてしまえばこんなモンよ!」 たった一体の魔物を倒しただけなのに涼は得意げに言ってダンジョンの中を進む。 「…ふう、なんとか昨日と同じく2Fに降りれたな」 「凄いじゃないか、昨日とはまるで別物のようだ」 魔物に囲まれないよう、時には逃げながらも攻撃を受けずに倒して行く様子を見ながらおじいさんが驚いたように褒めた。 「まだまだ操作がイマイチ慣れないが…慣れたらもっと難しいダンジョンに…おわっ!?なんだ!?」 涼が謙遜するかのような事を言うと急にモニターに黒い影みたいのが横切ってロボットがダメージを受けて倒れる。 「なんだ今の…?罠か?」 警戒しながら立ち上がらせるも追撃はなく少し進んでも何も無いので涼は首を傾げた。 「!いや、敵だ!見ろ!レーダーに高速で動いてる物が!」 「…敵か!…でも姿は見えねぇな…攻撃してくる気配も…うわっ!」 おじいさんの言葉に辺りを見渡しながら慎重に進むも特に何事も無く、少し警戒を解いて進むと急にロボットにダメージが入り前のめりに倒れる。 「なんだ、今の…?見えた?」 「影は見えたが…」 倒れる寸前に一瞬だけモニターに見えた敵の姿を捉えたかどうか聞くもおじいさんは首を横に振った。 「…速いな…」 敵の攻撃を再度警戒し、今度は立ち上がって少しの間その場から動かずに周りを見渡す。
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